主催者の藤沢です。
今回は、古代ギリシアの哲学者プラトンの対話篇『饗宴』をテーマに哲学カフェを開催しました。
たくさんの参加者にお集まりいただき、ありがとうございました。
やはり、主題が「恋愛」ということで、関心の高さをうかがわせますね。
皆さんのご意見で、一番多かったのが、この饗宴で語られるソクラテスの恋愛哲学(巫女ディオティマの語るエロスへの奥義の階梯)への批判や疑問です。
ソクラテスの恋愛哲学が、
- 「どうしても理解できない」ないしは、「自分自身の恋愛経験、恋愛観に引き付けて考えることができない」
- 「恋愛がロールプレイングゲームのように、レベルアップしていくように聞こえて、納得が出来ない」
といったご意見や、
- 「パイドロスの演説(天上的と世俗的なエロス)の方が説得力がある」
というご意見も。
また、最後に酩酊状態で登場するアルキビアデスの演説の真意は何か?という論点でかなり時間を割き、これは意外でした。
正直、ここが話題の中心になるとは想定していませんでした。
むしろ前半部(パウサニアスからアガトンまでのエロス賛美の演説)が話題の中心になるかと勝手に思っていました。
- アルキビアデスを抱かなかったソクラテスに対して、潔癖すぎるのでないか?抱いたところで、ソクラテスの偉大さは損なわれないではないか?
という疑問や、
- 老いたソクラテスが実は若きアルキビアデスに怯えていて、これは「老人の哲学」なのではないか?
といったご意見も。
他にも、永遠を求めて、子を作るという教説に対しても、「本当にそうか?」という疑問の声が多数寄せられました。
そこに論理の飛躍を感じると。
特に自殺などを考慮すると、この問題は広がりを見せるかもしれません。
全体として、なかなか刺激的な対話を体験させていただけたと感じました。
正直、『饗宴』を読んで、こういう展開になるとは予想していませんでしたので(笑)。
しかし、こういう予想外の展開、従来の学説では出てきていない解釈が登場するのが哲学カフェの醍醐味だと思っています。
是非、また『饗宴』は開催したいと思います。