【開催後記】 2020年1月12日 夢野久作『ドグラ・マグラ』~悪夢と心理の迷宮への誘い

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日本推理小説の三大奇書『ドグラ・マグラ』をテーマにした今回。

過去最大のキャンセル率(!)を記録しました。

従いまして、開始早々、

「これは参加予定者は、皆、怪しい老人か、妙に背の高い紳士か、どちらかに巻物を見せらられて、参加できなくなったのではないか?」と囁き合った次第です。

Philosophy cafe 20200112

ともあれ、無事M博士かW博士の陰謀に巻き込まれずに参加できた皆さま、ありがとうございました。

なかなか一筋縄ではいかぬ本作。

参加者の方々とのお話では、作品が唯物論や科学主義への批判と皮肉に満ち溢れており、逆に観念論の優位を説いてはいるが、結論はぼやかされているとの印象を共有しました。

確かに、「胎児の夢」や「地獄外道祭文」「脳髄論」は、説得力があるが、狂人の解放治療場の目的それ自体はぼやかされていますね。

そういえば、イタリアは1978年に精神病院を廃止しましたが、正木教授は先取りしていたも言えますね。

ウィキペディア バザリア法

1930年代の優生学の台頭も、本作には大きな影響を当えているとのお話もありました。

参加者の方のお薦めの本です。

ビブリオバトルでこちらの本を紹介なさって優勝したそうです。

私も読みましたが、確かに良書です。

また、本作は、脳より上位のシステムを正木博士は想定しているようですが、背景には中国の魂魄論があるのではないかとの説は面白かったですね。

ウィキペディア 魂魄

他にも、ユングの集合無意識との類似など、論点は尽きませんでした。

最後に、この小説。決して美文ではない事に全員の見解が一致しました。

しかしながら、それでも80年間、魅了(幻惑?)させてきた力は侮れません。

あと、別に、キャッチコピーにある「一度読んだ者は精神に異常を来す」なんてことはありません(笑)。

読むと分かりますが、意外と、理路整然としています。

去年やった埴谷雄高の『死霊』の方が余程・・・

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